例によってkujira_forというMODを作ります。
kujira_ifをフォルダごとコピーして、フォルダ名をリネームしましょう。
└─kujira_for
└─Assets
└─Python
│─KujiraEventManager.py
│
└─Entrypoints
└─CvEventInterface.py
《建造物が建設されたとき、その建造物がダンならば、
都市と同じタイル上にいる全ユニットに教練Ⅰと教練Ⅱを与えるMOD》
を作りましょう。
捕まえるイベントをいつもと変えているほか、ユニットへの操作を入れています。
バニラの建造物によくある
「この都市で生産されたユニットに教練Ⅰと教練Ⅱ」
との違いに注意してください。
今作ろうとしているのはダンが建設完了したその瞬間に
都市直上にいたユニットに影響を与える一回限りの即時的な効果です。
KujiraEventManager.pyをこのようにします…
from CvPythonExtensions import *
import CvEventManager
import CvUtil
gc = CyGlobalContext()
class MyEventManager(CvEventManager.CvEventManager, object):
def onBuildingBuilt(self, argsList):
'Called when a building is built'
super(self.__class__, self).onBuildingBuilt(argsList)
##########
CvUtil.pyPrint("onBuildingBuilt: called")
前回からの変更点はこの部分です…
>>>>>>>>>>
def onBuildingBuilt(self, argsList):
'Called when a building is built'
super(self.__class__, self).onBuildingBuilt(argsList)
<<<<<<<<<<
onCityBuiltだったところをonBuildingBuiltに変えています。
イベントのリストからonBuildingBuiltを探すと、
Function: def onBuildingBuilt()
Parameters: self, argsList (pCity, iBuildingType)
Description: Called when a building is built
となっています。
argsListに2つの値が入っているようです。例えば、
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pCity = argsList[0]
iBuildingType = argsList[1]
<<<<<<<<<<
などとして取り出すことができます。今回はこの[0]とか[1]とかいう書き方について。
Python実行環境を用意しましょう。
一応埋め込みも置いておきます。
リストとは、要素を順番に並べたもののことです。次のようにして作成します。
a = [2, 3, 5, 7, 11]
それぞれの要素は0番目・1番目・2番目……と順番が割り当てられていて、
a[2]として2番目を取り出すことができます。
試してみましょう。
a = [2, 3, 5, 7, 11]
print a[0]
print a[1]
print a[2]
print a[3]
print a[4]
何が出力されるでしょうか。予想して、実行してみましょう。
この番号の部分をインデックス(index)と呼びます。
インデックスは数値ですが、「整数を表すなにか」であれば
整数そのものである必要はありません。
def f(x):
return x*x
a = [13, 17, 23, 29, 31, 37]
b = 5
print a[1] # 数値
print a[b] # 数値入り変数
print a[f(2)] # 関数の戻り値
頑張って予想しましょう。
a = [13, 17, 23, 29, 31, 37]とあることから、
となっています(番号は0から始まるのでした)。
a[1]は直接1番目の要素を参照していますから17ですね。
bは5ですから、a[b]はaの5番目の要素を指すはずです。37ですね。
f(2)は何でしょうか。関数の定義の部分に戻ってみると、
引数のxをx*xにして返しているようです。
いま、引数に2を渡していますから2*2で4ですね。
呼び出した部分がそのまま戻り値である4に置き換わるのでしたから
a[4]となり、31になります。
さて予想もできたところで本当にそうなるか実行してみましょう。
要素数が十分少ないなら、左辺を,で区切って順番に全て取り出すこともできます。
a = ["apple", "orange", "banana"]
e, f, g = a
print e
print f
print g
予想して、実行してみましょう。
どうせ全要素printするのなら、「リストの各要素に対して、」という表現があれば便利です。
というわけで、for文がそれにあたります。
例えばこのように書きます。
fib = [1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34]
for i in fib:
print i
fibの要素を1つずつ取り出してiに代入しつつ、中のブロックを実行します。
ブロックを実行し終わったらまた次の要素をiに代入して、中のブロックを実行します。
これを、リストの要素が尽きるまで"繰り返し"ます。
上のプログラムを実行して動作を確かめてみましょう。
リストの内容分繰り返したいのではなく、ただ単に10回繰り返したいときもあるでしょう。
10個の要素を持ったリストを手作りすればよいのですが、めんどくさいですし、
数え間違いなどが起こってもいやですので、range()という関数を使います。
これは、0以上n未満の整数のリストを作って返してくれます。
動作を見てみましょう。
print range(15)
中の数字をいろいろいじっていろいろ実行してみるとよいでしょう。
(なるほどなるほどー。)
これを使って、このように書けます。
for i in range(10):
print i, "banme"
range()の動作をいろいろ試した方なら、予想できるかもしれません。
予想してから、実行してみましょう。
for文を学んだことで、例えばもし、
「タイル上のユニット数を取得する関数」と、
「i番目のユニットを取得する関数」があったなら、
このように書けるはずです。
nUnits = ユニット数を取得
for i in range(nUnits):
pUnit = ユニット取得(i)
pUnit.いろいろ...
nUnits回だけブロックを繰り返しますから、
タイル上の全ユニットになにかしていることになるはずです。
夢が広がりますね。
というわけで、onBuildingBuilt()の##########より下をこうしてみました…
>>>>>>>>>>
##########
pCity, iBuildingType = argsList
if iBuildingType == gc.getInfoTypeForString('BUILDING_CELTIC_DUN'):
plot = pCity.plot()
for i in range( plot.getNumUnits() ):
pUnit = plot.getUnit(i)
pUnit.setHasPromotion(gc.getInfoTypeForString('PROMOTION_DRILL1'), True)
pUnit.setHasPromotion(gc.getInfoTypeForString('PROMOTION_DRILL2'), True)
<<<<<<<<<<
全体像だけ見てみると、インデントが入れ子になっていることが分かります。
for文も文ですから、if文のブロックの一員にすることができて、
しかしfor文自身の中身ブロックはそれとは区別しなければなりませんから
さらに空白文字を足さなければならないのですね。
さて、argsListが何だったかというと、onBuildingBuilt()においては
[pCity,iBuildingType]というリストなのでした。
ので、このようにして取り出すことができるのでした…
>>>>>>>>>>
pCity = argsList[0]
iBuildingType = argsList[1]
<<<<<<<<<<
あるいは
>>>>>>>>>>
pCity, iBuildingType = argsList
<<<<<<<<<<
iBuildingTypeは今まさに建ったその建造物のTypeを表しているので、
それがダンかどうかはこのようにすればわかります…
>>>>>>>>
if iBuildingType == gc.getInfoTypeForString('BUILDING_CELTIC_DUN'):
<<<<<<<<
(gc.getInfoTypeForString()の働きは大丈夫ですね?キーを対応する種類IDに直す関数なのでした)
さて、ゲーム中、各タイルの状況は刻々と変わります。
(上に乗っているユニットや、建っている改善や、道が引かれているか、鉄道はどうか、etc…)
なのでこれにも例によって新しい名前があります。Plot(地点)です。
Terrain(地形)やImprovement(改善)といったものがPlotの制御下にあるほか、
UnitやCityは自分がどこにあるかの情報をPlotでもっています。
たとえばPCity.plot()としてpCityのPlotを取得できます。
そして、plot上にあるユニットの数はplot.getNumUnits()、
plot上のi番目のユニットはplot.getUnit(i)で取得できます。
pUnit = plot.getUnit(i)と受けてあげることで
各Unitに操作ができるようになります。
今回は昇進を与えたいのでしたから、リファレンスのCyUnitからpromotionで探すと…
292. VOID setHasPromotion (PromotionType eIndex, BOOL bNewValue)
void (int (PromotionTypes) eIndex, bool bNewValue)
結構たくさんヒットしましたが、「昇進を無償で与える」に該当しそうなのはこれでしょうか。
PromotionType eIndex は例によって昇進の種類IDなのでいいとして、
もうひとつBOOL bNewValueという引数をとっています。
これは昇進を持っている状況をTrue、持っていない状況をFalseとみなしているのですね。
つまり「昇進を持つようにする」と「昇進の所持状況をTrueにする」を同一視しているのです。
もちろん逆に「昇進を剥奪する」と「昇進の所持状況をFalseにする」が同一視されるわけです。
ここまでわかれば教練Ⅰを持たせられます。
pUnit.setHasPromotion(gc.getInfoTypeForString('PROMOTION_DRILL1'), True)ですね。
全体でこうなります…
from CvPythonExtensions import *
import CvEventManager
import CvUtil
gc = CyGlobalContext()
class MyEventManager(CvEventManager.CvEventManager, object):
def onBuildingBuilt(self, argsList):
'Called when a building is built'
super(self.__class__, self).onBuildingBuilt(argsList)
##########
pCity, iBuildingType = argsList
if iBuildingType == gc.getInfoTypeForString('BUILDING_CELTIC_DUN'):
plot = pCity.plot()
for i in range( plot.getNumUnits() ):
pUnit = plot.getUnit(i)
pUnit.setHasPromotion(gc.getInfoTypeForString('PROMOTION_DRILL1'), True)
pUnit.setHasPromotion(gc.getInfoTypeForString('PROMOTION_DRILL2'), True)